コンパスで作る地球
「おいッ!吉野。お前さ命助かったな~。なぁ?」
背が一番高い南城クンが吉野クンの肩に腕を回して笑う。
それで皆に問い掛ける。
「南城の言うこと本当だよ。吉野!柳澤のことだから何が起こるかわかんないしよ!」
「そうだな……」
吉野クンの表情が暗くなる。
「治斗?」
明るく尾田クンが吉野クンの名前を呼んだ。
「ありがとう…な……本当に助かったよ。ハハハッ。」
それに笑って返す吉野クン。
「ハハッ。携帯のカメラ機能に礼を言っとけ。」
それにまた親方のような口調で話す尾田クン。
参考書は一体どこに消えたんだろうか。
それでまたクラス中が騒ぎだした。どんだけ太っ腹なんだよと野次も飛びまわる。
だけどその輪の中に吉野クンだけは入らなかった。吉野クンだけがシンと静かになる。
自ら自分のことを消しているような感じがする。
「……何か吉野クン寂しそう?」
「確かにね。急に元気が無くなったよね。」
曇り空の顔をしている吉野クン。顔が笑っていても下を向いちゃってるよ……