コンパスで作る地球
そうやってずっと自分のことは隠してて。人のことばっかり気にして。そんな風にするのは勝手だけど……
寂しそうな顔しないでよ……
こないだの柳沢の時だって一人で気分下げて……学食の時とかさ。食欲までなくして。いいのそれ?
「俺は……」
「…。」
吉野クンがボソリと呟いた。
「自分で死ぬほど勉強することで満足してんだ。」
「満足?」
「誰も解けない問題を自分だけ解いてみせたり……学年トップになったり……それでやっと俺は落ち着ける。」
「…。」
「ずっと勉強するとさ……指がペンダコだらけになるんだよ。ばんそこう貼ってもさ……粘着力のせいでシャーペンがべちゃくちゃ。」
吉野クンの話す声がだんだん弱くなっていった。どうやら落ち着きがなくて頭をむやみにかいている。
「…。」
「俺は就也に偉そうに言ってるけど……差を作ってるだけだよ。……就也にはすっごく助けてもらってる。」
尾田クンとの差?
吉野クンはさっきから勉強に取り組んだまま話をする。そうやって一度も私と目なんて合わせてくれない。
「二人は……すごく仲良しじゃんか。中学からの親友だって聞いたよ?」
それなのに何で。そんな風に差を付けるだなんて。
「あいつは凄いんだよ。サッカーもやって……将也の兄貴として堂々としたり。昔からクラスのみんなを一人で引っ張ったりしてよ……」
吉野クンが首を丸めた。
「だから嫌なの?」
尾田クンのことが嫌なの?