片思いの続きは甘いささやき
体を重ねるようになってから3か月くらい。
何度もお互いの部屋を行き来しながら濃い時間を過ごしてきた。
雪美には喬から与えられる激しい夜を、少しも無駄にしないように。
ただ喬から向けられる視線と体温を自分の中に閉じ込めてしまいたくて必死で想いを返していた。
何度目の夜だったかは思い出せないけれど、確実に喬に惚れている自分に気づいてしまった。
濠への長い苦しい片想いに慣れていて、喬に対する新たなときめきに順応する事にどきどきしてしまったけれど、喬に注いでしまう愛情を止めることも止めようともできなかった。
新しい片想いが始まったと、胸の痛みを隠しながらそんな自分に覚悟を決めて。
ただただ喬の側にいた。
「雪の荷物、ここに運んどけよ。運びきれなかったら俺が車出すし」
合鍵を手にしたままぼんやりとしていた雪美に喬はあたりまえのように言った。
「もう少し広い部屋を探すか?台所や風呂も広い方がいいし。
あ・・・透子にでも設計してもらう?相模さんは忙しすぎて無理だろうしな・・・」
「あ・・・あの、喬・・・言ってる事がよく・・・」
一方的に話す喬についていけずに、慌てて問いかけても、喬は自分の思いに一生懸命で雪美の肩に回していた腕にさらに力を込めて引き寄せた。
「なあ、マンションと一軒家とどっちがいいんだ?」
何の不思議もないように、そう問うのが当たり前のように聞いてくる喬に、雪美は何も言えないままに、見つめるだけ。
「・・・まあ、結婚式の段取りの方が先だな。雪のホテルでする?」
ん?と普通に見つめて尋ねる喬。
あまりにも思いがけない早い展開に、雪美は嬉しさと戸惑いと、不安と。
どう気持ちを保てばいいのかわからないままで瞬きだけを繰り返した。