片思いの続きは甘いささやき
「雪の親にも挨拶しなきゃな。俺んとこは大丈夫だから心配するな。雪なら一目で陥落。賛成するに決まってるし。・・・まあ、俺も一応名前の知られた会社で働いてるし養っていける稼ぎもあるから、雪の親にもしっかりと会うし・・・んん?雪?どうした?」
「え・・・?あ・・・あの・・・親に挨拶って・・・?」
「は?結婚するならちゃんと挨拶しなきゃだめだろ。結婚は家と家の結びつきでもあるしな。確かに・・・緊張するけど大丈夫だ。俺は欲しいものを諦めるつもりもないし、それが雪なら尚更手放すなんてする気ないから。そんな不安がらずに安心してろ」
ふふん・・・。
そんな偉そうな表情のまま、強気な言葉を連ねる喬の言いたい事を、雪美は必死で理解しようとした。
慌ただしい鼓動の音が邪魔をしながら脳をフル回転させて、一語一語を解釈。
結婚って言ったし・・・挨拶やら何やら。
「結婚・・・するの?私たちが?」
「あ?どういう意味だよ。その不思議そうな顔。俺としたくないの?結婚」
「いや・・・そうじゃなくて・・・あの・・・」
「したいんだろ?俺と結婚。俺も雪と結婚したいよ。一刻も早く。今から役所行って籍入れたっていいんだし。・・・雪は違うのか?」
責められるような威圧感を感じながら、慌てて首を横に振る雪美は、更に訳が分からなくなっていた。
結婚なんて・・・喬とできるなんて昨日まで全く思えなかった。
喬は透子をひたすら大切に想って苦しんでいるとばかり思っていた雪美にとって、喬に抱かれていてもどこかで悲しい感情を抱えていたせいか、喬にまっすぐ愛されているという状況を受け入れるだけで精いっぱい。
まだ気持ちの収拾がついていない。
それなのに、一気に先を走っているような喬の発言に乗っかっていいのか見送ればいいのかわからない・・・。
喬を愛している気持ちは確かだけど・・・まずは愛されているという状況に慣れたい。
そう雪美の逡巡する心を知ってか知らずか、不敵な笑みを浮かべた喬。