片思いの続きは甘いささやき

「大丈夫。雪が驚いてるのもわかってるし俺ががっついてるのもわかってる。
雪と俺の今までの過程は違うから、今俺と考えが違ってても仕方ないって思うけど。
それでも急ぐし突っ走るから。雪が俺の嫁さんになるまで」

強い目力をしっかりと雪美に向けて、喬はまるで洗脳するかのように囁いた。
この三か月の曖昧な関係を考えると、まるで予想もしなかった喬の変化には雪美もどう答えていいやらわからない。
雪美の喬への気持ちははっきりしているけれど、そのはっきりしたのはほんの数時間前で。
喬を愛してやまない気持ちと同じ濃さの想いを返されたばかりでその幸せに浸っていた雪美には、まだまだついていけない喬の勢い。

「何もかも早過ぎて追いつけないなら、俺がちゃんと抱えて突っ走るし、雪の気持ちを整理したいなら、完全に俺のもんになってから整理して。ゆっくりと」

それ以外受け付けないぞとでもいうように、低い声。
雪美の心に重く落ちてくる。

それまでにも何度か感じていた喬の本質。
普段は軽く明るく周囲の温度に気を付けながら過ごしていても、本質的に自分の大切にしたいものに対してはとことん我を通すという性格。

雪美にとっては、そんな喬の本質はそれまで透子にのみ向けられるもので、まさか自分を取り込む為に喬自身の本来の姿を晒してくれるとは思ってなくて。

驚く気持ちと共に、少しずつ湧き上がる温かい感情。

安心感に似た喬への信頼感。

「・・・喬は、それでいいの?こんなに早く決めて自分を私に縛らなくても、私は喬の側を離れないのに・・・」

喬の腕をゆっくりと掴みながら、雪美は小さな声でつぶやいた。
喬から離れるつもりはないし、そんなこと、たとえ結婚してもしなくても・・・。



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