秘密な結婚
「拓真?
あの、私、本当に怒ってないよ?
拓真の立場なら
私も同じ事を言うわ。
……ダメよね、私。
分かってるの。
皆に迷惑掛けてるって。
私、本当は会社を辞めるべきなのよね。
――そろそろ、本気で考えた方がいいね…」
彼女の身体をバッと自分の胸から離し、
その顔を見る。
紗和は泣いてはいないけど、
その瞳には、もう全てを分かっていて、
何かを終えようとしている様な
毅然とした輝きがあった。
まるで、俺の事も、
忘れたがって、遠ざかりたい様に…
………思えた。