秘密な結婚
……あ、しまった…!
見つめ合う二人に
張りつめた緊張が走る。
私…、なんて事……。
拓真がついた嘘も
今までの苦しい気持ちも
全てが、壊れてしまう…!
「あ…私…」
その時、腕を掴む手の力が
ふわりと緩んだ。
え。
青木さんを見上げると…、
彼はにこりと笑っていた。
「紗和ちゃん、分かったよ。
何か理由があるなら、それは聞かない。
…誰にも言わないから。
行って?」
「あ、青木さ……」
どうして?
どうして優しくしてくれるの?
私は、あなたにひどい事……したのに。
「一瞬でも、俺を好きになった事、
君に後悔してほしくない。
…バカな男のプライドだよ」