ナツの夏
先生はお見合い相手に会うなり、「大切な人に戻って来いと言われたので、申し訳ありませんが失礼します」と言って席をたったそうだ。
大切な人、とは私のことだろうか。
お相手は、先生に恋人がいると誤解したに違いない。
なんとも、気の毒だ。
「写真よりもすっごくイケメンだったのよ〜」
先生はなぜか誇らしげにお相手を自慢した。
お父さんとお母さんが「もったいないことするんだから」と言いながらも、嬉しそうに笑った。
私は先生の隣で楽しそうに話を聞く皐月を、チラッと見遣った。