白い翼と…甘い香り
「ねぇ、今からコレつけてよ」
「はぁ? なんで?」
ちょっとだけ
我が儘を言うみたいな
目付きで言うと
和也はまた呆れたように
目を大きくして笑った。
「いいじゃない、ね?」
「やだよ~
もう寝るだけじゃん」
「だからっ、寝る時に
この香りが欲しいの」
「なんでぇ、匂いがなきゃ
俺じゃねぇみたいに
聞こえんだけど?」
そんな、少し意地悪に
聞こえる口調で言いながら
顔は、笑っていた。
「ごめんっ、そういう意味で
言ったんじゃないの」
「別に謝る事じゃねぇけど?」
「やっぱり
和也だけがいいよ、ごめん」
この香水をつけてる
和也が好きなんて
逆に、とても失礼なことを
言ってしまった気がして
自分の言葉を少し後悔した。
和也は特に、気にしてる
様子もなかったけど
私の言い方が
悪かったかも知れないね。
でも、怒って無い。
機嫌の良さそうな
少し笑った顔で私を見ていた。
いきなり、和也は私のすぐ横に
寄ってきて目の前に立つと
私の胸元に、手を
差し込むような動きをした。
「キャッ」
突然ですごく驚き
1歩後ろへ飛びのいた。
「何もしねぇよ
何、その驚き方?
いいから、来てみな」
「なに?」
笑いながら言う
「来てみな?」と言う言葉に
なぜか私は
ドキドキするんだよ。
たまらなく
優しい言い方なのに
何がなんでも逆らえない
そんな雰囲気がある。
だから私は
引き寄せられる。