聖戦物語 奇跡が紡ぐ序曲~overture~
「……ヴァルス陛下たちの結婚の話で逸れたんだったな。フィルネシアとの国交の話だったよな」
「うん、そう」
素直に頷いて再び教書と向き合うサリアに優しく微笑みかけながら、アルジスはゆっくりと言葉を紡いでいく。
「マーテル姫との婚姻で結ばれた繋がりは、ヴェーネからは絹や綿を、フィルネシアは鉱山から取れる鉱物を主にしての交易で持続していく―――」
すらすらと流れるような説明を聞き逃すまいと集中しながら、サリアはそれから数時間魔法史の勉強を見てもらった。
しかし休憩を挟もうと言われて一息つこうと背筋を伸ばしたとき、ころりと胸元から零れ出た輝石を見て、サリアの顔つきはやや険しくなった。
「………? どうかしたのか?」
首を傾げたアルジスに応えず、サリアは慌てて鞄を開き、中から一枚の紙を抜き取った。それに目を走らせながら、だんだんと蒼白に近づいていく彼女の顔色に、アルジスの眉間の皺も濃くなる。
「………実技試験……一ヵ月後だ」
「……なんだと?」
ぽつりとつぶやかれた言葉に、アルジスが短く復唱を求めた。
ばっとアルジスに向き直ったサリアが、その勢いとは真逆の弱々しい声で言葉を放つ。
「……セカンドに昇格するための試験。筆記は自信があるけれど、実技はどうしても……」
「………苦手なのか? 魔法を使うのは」
「……私、自分の魔法使いとしてのタイプがどれがいいのか分からないうえに、属性も分からないから」
落ち込んだようにぽつりとこぼしたサリアに、アルジスは瞳を瞬かせる。
「うん、そう」
素直に頷いて再び教書と向き合うサリアに優しく微笑みかけながら、アルジスはゆっくりと言葉を紡いでいく。
「マーテル姫との婚姻で結ばれた繋がりは、ヴェーネからは絹や綿を、フィルネシアは鉱山から取れる鉱物を主にしての交易で持続していく―――」
すらすらと流れるような説明を聞き逃すまいと集中しながら、サリアはそれから数時間魔法史の勉強を見てもらった。
しかし休憩を挟もうと言われて一息つこうと背筋を伸ばしたとき、ころりと胸元から零れ出た輝石を見て、サリアの顔つきはやや険しくなった。
「………? どうかしたのか?」
首を傾げたアルジスに応えず、サリアは慌てて鞄を開き、中から一枚の紙を抜き取った。それに目を走らせながら、だんだんと蒼白に近づいていく彼女の顔色に、アルジスの眉間の皺も濃くなる。
「………実技試験……一ヵ月後だ」
「……なんだと?」
ぽつりとつぶやかれた言葉に、アルジスが短く復唱を求めた。
ばっとアルジスに向き直ったサリアが、その勢いとは真逆の弱々しい声で言葉を放つ。
「……セカンドに昇格するための試験。筆記は自信があるけれど、実技はどうしても……」
「………苦手なのか? 魔法を使うのは」
「……私、自分の魔法使いとしてのタイプがどれがいいのか分からないうえに、属性も分からないから」
落ち込んだようにぽつりとこぼしたサリアに、アルジスは瞳を瞬かせる。