聖戦物語 奇跡が紡ぐ序曲~overture~
「属性が、分からない?」


「……うん」


 こくりと頷いたサリアが、ぽつりと零す。


「………魔法が上手く発動したことが一度もないの」


 水、風、火、地の四元素をはじめ、緑、闇、光、幻―――…。


「……どれも試したけれど、全然発動しないの」


 落ち込むサリアに、アルジスはぽつりと零す。


「………魔法を扱う者でも、ある理由によって数年ほど壁にぶつかるケースがある」


「え……」


 顔を上げたサリアに、アルジスはふわりと笑う。


「理由は、三つ」


 ゆっくりと語られていく言葉に、サリアの全神経が集中していく。


「一つ目は、自分の媒介となるアイテムが合わない場合」


 自分の相性と合わない媒介を使えば、素質があってもまったく魔法は発動しない。それどころか、使い続ければいずれ魔法を使うことすらできなくなる。


「……それはないと思うの。私の媒介が合わなかったら、ルーナは使い魔になっていないもの」


「ということは……ルーナはまさか」


「うん。この輝石から生まれた使い魔なの」


 ネックレスに組み込んだ媒介―――白い輝石を指し示して、サリアは言う。


 サリアが昔この輝石に触れた途端、輝石のなかから生まれたのが、ルーナだ。媒介から使い魔ともなる生物が呪文もなしに生まれるのは稀―――たいていは、媒介の力を具現化するために詠唱をして、それが結晶となったものからそれは生まれるのだから。
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