絶対、逃がさない!(短編)
 どうやら、おれが確かめもせずにぶちぶちとちぎった中に、あったようだ。



「すごい、すごいねぇ、あったよ。あったぁ」



 うれしそうにニコニコ笑う陽菜。

 でも、そのときすでにおれの中にはいじわるな気持ちが、ものすごく大きくなっていて・・・。


 おれは、手を伸ばして、ひょいっと陽菜の手から、四葉のクローバーを奪い取った。



「光くん!?」

「おれがちぎったなかにあったんだから、おれの!」



 ・・・ひどい言い草だ。しかも、自分で探すの手伝うといっておきながら。

 ひどすぎる、一年生の、おれ。反省。



「そんなぁ。ひどいよ。ちょうだい、光くん! かえして!」



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