絶対、逃がさない!(短編)
 久しぶりに近くで見る陽菜はとっても可愛くて、綺麗だった。

 制服のワンピースが身体のラインにそって、スタイルのよさもよくわかった。

 陽菜は、掲示板の周囲に集まっている男子生徒の視線が自分に集中していることに、少しも気がついていない。



 よろめいた陽菜の身体がおれに触れた。

 柔らかくて、華奢な身体。ふわりと、甘い香りがした。

 ちっとも重さを感じない身体を支えてやってから、おれのことを憶えているかと聞いてみた。

 陽菜は真っ青な顔をしながら、思いっきり否定してくれた。

 ぶんぶんと首を振って、まるで目の前の現実を否定するかのように。

 

 むかつく。



 逃げようとした陽菜をすかさず捕まえた。

 握った手首は細くて、力を入れたら折れてしまいそうだ。

 こめすぎた力を緩める。

 おれを見上げる陽菜の目は潤んでいて、今にも大粒の涙がこぼれそうだった。



 まずい。


 これじゃ・・・また同じことの繰り返し。





 

 
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