絶対、逃がさない!(短編)
 内心、あせるけど、はなしたら逃げすとおもったら、つかんだ手を離せなかった。




 ・・・けど、結局逃げられた。



 もっとも、その後、すぐに陽菜をみつけた。

 かったるい式が始まって、ちょいはげた教頭が、名前を読み上げたとき、最初は何かの間違いか、同姓同名かと思った。

 でも、陽菜だったんだ。

 壇上の上に立ち、女子代表としての挨拶を読み上げる陽菜は、いつもの泣き虫の面影なんてなくて・・・。

 

 凛として、とても綺麗だったんだ。



 そして、そのときおれは決めたんだ。



 もう、泣かさないって。



 そばにいきたいから。

 逃げないで、同じ位置に立ってほしい。


 
 おれが昔のおれじゃないってことを知ってほしいんだ。

 そして、おれを見てほしい。

 怖がらずに、まっすぐに。


 
 
 


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