絶対、逃がさない!(短編)
「かわいそうだよ、ちぎったりしちゃ」

「ふん! そんなのどうせ草じゃないか!」


 だんだんとおれの心にいつもの、いじわるな気持ちがむくむくと起きてきた。



 泣かしてやる!



「あ!」



 陽菜が自分の手元をみて、小さな声をあげた。



「みて! あったよぉ、光くん」



 大きな目をきらきらと輝かせて、陽菜がおれの目の前に差し出したのは、四葉のクローバーだった。

 たしかに、葉が四枚あった。
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