私の血を狙わないで。




「……美味しそうだな…」



その男子がボソッとつぶやく



でも、私にはよく聞こえなかった



「え?今なんてー……」



「へへっ。なんでもないよ。ただ……。」




ソッと私の手を握る



『ドキッ』



心臓が大きな音を立てる





だが



すぐに、冬美がその手を振り払った



「凛香!!この人、変だよ。さっき、凛香のこと美味しそうだって言ったもん!!」




「ちょ…冬美、何言ってんの?そんなこと言うわけー……」




私は冬美に腕を掴まれて、グイッと引っ張られた



私のもう片方の腕を、その男子が掴む




「どこにいくのかなー…?僕が変な人?誤解だよ。『美味しそう』なんて言ってないさ。……それに」



「………?」




「こんな滅多にいない獲物は……捕まえないと、勿体ないしね。」



その男子が私の耳元で囁く



「!!!!???」



私はすぐ、その男子から離れた




何この人…?


獲物を捕まえる?



獲物って…私のこと?




「ほら、怖がらなくていいんだよ…。」



「いや…、近づかないで!!」




その男子は、ニコッと笑う


でも、その笑顔は…




何か企んでいるような…



そんな笑顔に見えた








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