『若恋』榊の恋【完】
「ひかるは学校には指輪をしていけないから、チェーンに通して身に付けさせないとね。無くしてもダメだから婚約指輪は家にしまっておいて。結婚指輪として胸に下げるのを選びましょうよ」
宝石店に車を寄せると、入り口に店長が畏まって出てきた。
「大神さま、今日の御求めものは?」
「そうだな。今日は彼女と榊の好きなように探させてやってくれ」
「かしこまりました」
店長が命じて、美しく着飾った女性がコーヒーを用意してくれて若が自分をチラと見て、
「少しだけりおを貸してやるから見てこい」
ニヤッと笑った。
若なりの優しさで、今だけはりおさんと話ができる。
「ひかるの誕生石はわたしと同じ4月だからダイヤモンドよ。婚約指輪はピンクダイヤがいいわ」
「ピンクダイヤですか?」
「普通のダイヤよりきれいよ、きっと」
なるほど。