『若恋』榊の恋【完】
クスッ
鼻にかかった笑いを忍ばせて若佐が2メートルほど離れたところで立ち止まり見下ろした。
「天宮は成績もずっとよかったのにあなたの元に引き取られてからは下がる一方だった」
「………」
「それまでは、他の生徒同様わたしのことをずっと慕ってくれていたのに」
「………」
「話を聞くと、あなたが好きで来年には結婚するんだって嬉しそうに言うのでね。まさかと思ってたけれど、さっき指輪を見つけましてね」
シャラ
若佐がそう言って握っていた手を前に出し開くと。
シャララ
音を立てて鎖に通った指輪が床に落ちた。
「っ、」
「天宮はわたしを好きだったはずなのに、いつの間にかヤクザなんて…」
「若佐、」
「他の生徒同様、天宮もわたしのものだ」
異様な光を放つ瞳が自分を通り越してひかるちゃんを見据えていた。