吸血鬼は淫らな舞台を見る episode ι (エピソード・イオタ)
老人の話が事実であれ、嘘であれ、人間の口から出た言葉に一瞬でも耳を貸した自分を腹立たしく思った。
だが、数時間前、夜中を一人で歩いていた若い女性の白い首に誘われて吸った血に、ピコマシンが混入していたらしく、自然と吸血鬼の猟区域と思われる場所に足を踏み入れていた。
美しいバラには棘があったのだ。
人間は自分達で犠牲を出すことにより、吸血鬼の魔の手から逃れることを選択した。
政治のすばらしい判断力と勇気だ。
アルファはそれなりに高い地位の人間に会うことができたら拍手してやろうと思った。