吸血鬼は淫らな舞台を見る   episode ι (エピソード・イオタ)


肖像画の裏側に隠れようと這って進むが、階段を駆け下りてくる隊員にどう考えても追いつかれる。


しかも床にはイオタの血が赤い矢印代わりにべったり付いてしまっていた。


イオタを撃った隊員が銃を構えながらゆっくり歩み寄ってきた。


最期に自分の命を奪おうとする奴の顔が見たくてイオタは仰向けになる。


車に脚を挟まれていた隊員とそれほど年齢に違いがあるとは思えないが、薄くて上向きの唇を隠すように髭を伸ばしているので貫禄がある。


「おい、こっちだ」


掛け声で四人の隊員が加わり、イオタの周りに集まる。

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