吸血鬼は淫らな舞台を見る   episode ι (エピソード・イオタ)


頭部を失った胴体が床に崩れ落ち、イオタの身は自由になる。


「本性を現したか……」


中折れ帽の男は苦々しい表情で言葉を呑み込んだ。


「アクシデントがあってもガンマ少佐なら部下の首をはねるなんてヘマはしないですよね」


「久し振りにこいつの試し斬りをしたいという欲を捨てられなかった」


ガンマ少佐と呼ばれた中折れ帽の男は、日本刀を一振りして血を払う。


髭男が咄嗟に出したサブマシンガンで、自分が斬られるはずだった軌道がずれたと思ったイオタは、自分のミスを試し斬りのために部下の首をはねるという欲で取り消したガンマ少佐の行動は命拾いをしたことなど忘れてしまうくらい、体の芯が震えるほどの恐怖を覚えた。

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