吸血鬼は淫らな舞台を見る   episode ι (エピソード・イオタ)


「今度は腕を斬ろうかな」


惨酷な予告をしたガンマ少佐は、シータがいる階段の上に思わせぶりな視線を向けた。


「ぼくは七番目でシータ。彼と同じ能力を持ってる。血を飲むと……」


「い、言っちゃ駄目だぁぁ~」


シータは切羽詰った表情で答えようとしたが、イオタが小刻みに体を震わせながら叫んで言葉をかぶせる。


能力を隠しておけば助かる可能性はゼロじゃない。


ガンマ少佐と残りの隊員を引っ掻いて、僅かでも血を舐めることができれば舞台へ連れ込める。


現実の世界で気を失っているガンマ少佐にシータがとどめを刺せればいい。ただし、能力の種明かしをしてしまえば絶望的だ。

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