吸血鬼は淫らな舞台を見る episode ι (エピソード・イオタ)
イオタは自分の意思で脳が働いているのか、自分でもよくわからなくなってきていた。
その弱みに付け込むタイミングで脳内の黒い化け物は不敵な笑みを浮かべ、小脇に抱えていた赤い本を開き、突き出すようにしてあるページを見せる。
【支配】……自己の権力において思いどおりにおさめること。
それが目的なのはわかってるさ。
辞書的な文面を読んだイオタは諦めに近い感情に押され、ニヤニヤと淫らに笑う黒い化け物に文句を言う体力も気力もなくなっていた。
頭を抱えて悩みたいくらいだが、シータにそんな姿は見せたくない。