吸血鬼は淫らな舞台を見る episode ι (エピソード・イオタ)
シータは何も言わず、イオタの後頭部を手で押してくる。
寸前になって躊躇してしまうのではと思っていた迷いは、シータの白い首筋に唇が触れた途端、一気に吹き飛んだ。
人間と同等の長さだった八重歯が皮膚に喰い込むと、血を追い求め、骨を砕く勢いで乱杭歯として成長し、本性をさらけ出したイオタはングッ、ングッン、ングッ……と喉を鳴らして吸い続ける。
「いいよ、イオタ君。もっと、もっと、一杯吸っていいよ」
シータは恍惚とした表情でイオタを強く抱きしめ、そのままベッドに倒れ込む。
動脈が切れ、ピシャ……と無数の赤い飛沫が顔にかかっても、イオタは本能に逆らうことができなかった。