吸血鬼は淫らな舞台を見る episode ι (エピソード・イオタ)
「嘘を言ってるなんて思わないから……それにぼくが血を飲んでる間に黒衣部隊がきたらどうするつもり?」
イオタは反対する理由と作戦の盲点を伝えた。
「なんとかするから早く!」
シータは急かしてからイオタの失った右脚と右腕の切り口をそっと撫でた。シータの手のひらから温もりは感じられず、氷のように冷たかった。
このままだと足手まといだと、遠回しに言われているような気がしてならない。
でも、それは紛れもない事実で、このままだとシータを救うための盾になることさえできない。
「わかった……」
イオタは小さな声で従う意思を口にした。