吸血鬼は淫らな舞台を見る   episode ι (エピソード・イオタ)


黒衣部隊が侵入してきた入口から流れてきた外気の影響で濃淡が疎らな白い煙が横切り、右の手のひらからシータを連れ去った。


このとき、イオタには仕返しではなく、復讐という文字が心に刻まれた。


目が赤く血走り、爆発した感情を解き放つ。殺戮の道具として血に飢えていた乱杭歯と鉤爪が伸びた。


「ガルルルルゥゥゥ~」


化け物というより獣に近い呻きをもらし、乱杭歯から粘性の涎をしたたり垂らす。


「なにかいるぞ」


「気をつけろ!」


警戒心を張られた直後、イオタは手前にいる隊員から次々に襲い掛かる。

< 322 / 398 >

この作品をシェア

pagetop