吸血鬼は淫らな舞台を見る episode ι (エピソード・イオタ)
「アルファという吸血鬼もガンマ少佐に殺されたんだ」
『そうよ』
弱気な声でジェーンが言う。
「自分に期待なんかしてないし、希望なんてこの世にないのかもしれない」
イオタは自分自身を冷静に判断してみた。
『希望は自分で掴むもの、なんてことが書いてある本を読んだ記憶はない?』
「本にそんなことが書いてあったとしても、それは人間達の思いあがりだよ」
とはいっても自分が図書館のような部屋にあった本を書いた人間側のほうがよかったのか、吸血鬼のほうがいいのか、灰色の迷いが頭をかすめ、イオタは複雑な表情を浮かべる。