吸血鬼は淫らな舞台を見る episode ι (エピソード・イオタ)
刃を掴みながら一気に抜くときのイメージはなんとかピュッと少量の血が吹き出る程度にとどめた。
「私の名前を知っているのか?しかも刀を素手で抜くなんて……到底人間の子供ができる芸当じゃないな……吸血鬼か……」
ガンマ少佐は自分で答えをみつけたが、肝心なことを知らない。
ここはすでに現実の世界ではないという事実を知らない。
「だから?」
イオタは立ち上がり、“ら?”の最後の発音のとき、敵意に満ちた上目遣いを向けた。
「私とは初対面のはずだが、かなりご立腹なのかな?」
ガンマ少佐が目を皿のようにさせてイオタを観察する。