蝉時雨
「‥‥‥何でお前が居んの?」
「何よ?
誰かさんがいつまでも寝てるから
わざわざ起こしにきてあげたんでしょー」
「俺のプライバシーは丸無視かよ」
「何よ今さら~」
起きて早々、
深々とため息をつく京介を無視して
山ちゃんから預かった冊子を
かばんから取り出す。
あんなにいろいろ考えて
悩んでいたのが馬鹿みたいに、
今はもう 京介に対する恥ずかしさとか
変な緊張感はなくなっていた。
「まったく!!
お礼くらい言いなさいよね。
これも持ってきてあげたのに」
目の前に差し出された冊子を受け取って
表紙に目を通すと京介は
心底嫌そうに顔をしかめて声をあげる。
「はあ?数学課題?」
「そ。補習さぼった分の特別課題だって」
「はあ?!だりぃ。絶対やらねー」
「え~?!駄目だよ!!
京介がやらなきゃ菜々子が写せない!!」