蝉時雨
「はぁ?あほか」
「だってぇ!!菜々子1人で数学とか
解けるわけないじゃん!!」
ピーピーと騒ぐ私を無視して
京介は何食わぬ顔で、
受け取った冊子をまた私の手元へと戻す。
「?何よ?」
「返す」
「え?」
「いらねーから返す」
「‥‥‥‥はい?」
「うん。そーいうことだから」
顔をしかめる私をよそにそう言うと、
京介はまたのそのそと布団にもぐりこんだ。
「‥‥ちょっ‥と!!
返すとか無しだよ!!」
「‥‥‥‥‥」
「ちょっと京介!!
ちゃんと受け取りなさいよ!!」
「‥‥‥‥‥」
「菜々子が2冊分
やんなきゃいけなくなるんだよ!?
京介っ!!ねぇ聞いてる!?」
冊子を押しつけてみても、
体を揺らしてみても全く反応がない。
「~~~~~っ!!!
もう!!ねぇってば!!!」
痺れを切らしてベットの脇に屈むと、
頭まで掛けられた布団をはぎとり
京介の耳元で思いっきり叫んだ。