蝉時雨


階段を降りながら携帯で時間を確認すると
私が来てから、もう六時間ほど経っていた。

家の中は相変わらず静かだけど
廊下の端にリビングからの灯りが漏れていた。

おばちゃん達は
まだ帰ってきていないのだろうか。




きょろきょろしながらリビングに入ると
奥の和室にいた涼ちゃんが
私の足音に気づいて顔をあげた。




「菜々子、おはよう。よく寝れた?」

「ベットでごろごろしてたら
そのまま寝ちゃってた。
涼ちゃんはいつ帰ってきたの?」

「二時間くらい前かな」

「そっかあ」



二時間前からいたと言うのに
和室にあるテレビはついていなかった。
やけに静かだなと思った理由の一つは
おそらくこのためだろう。


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