炭坑の子供たち(1)
 そんな赤ん坊を背負った姉ちゃんは

ゴム飛びをする小さな子達を、優しい目で見守っていたが

女の子達は、ゴムを飛ぶ前には

スカートのすそをパンツにはさんでいた。

ゴムを飛んで、乱れた妹の髪を、姉ちゃんが手ぐしで整えてやっていたが

オテンバな妹は、又手でバラバラにして喜んでいた。

そのオテンバ娘は、男の子の気分を味わいたいと

水を入れたマヨネーズの容器を股にはさみ、立ち小便の真似をしていた。

その頃、ダッコちゃんと言う、空気でふくらませて、腕に巻く黒い人形が流行り出したが、

品薄でなかなか手に入らず、値段も高かった

それでも、何とか買って貰った子は

これみよがしに腕に巻きつかせて、見せびらかしにやって来た。

買えない家の母親は

そっくりの人形を、黒い布でこしらえてやり

その方が、空気を入れる必要もないし、針で刺してもつぶれなかった。

ダッコちゃん同様、フラフープと言う、腰で回す丸いオモチャが、爆発的に流行ったが

腸ねんてんになるとの噂で、たちまちすたってしまった。

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