Reminiscence
「まずは、エピドートの力を借りようと思ってる。メモリーラビットについてアズは何か知ってる?」
アズは少し考えるようなそぶりを見せてから答えた。
「うさぎのような特徴を持った亜人で、歩けない子供以外は皆水晶を大事そうに持ってる。なにか価値があるのかと思ったんだが、あの水晶に価値がつくのはメモリーラビットにだけだ。それに、持ち主だけだってのも知ってる」
「さすがシーフ。そういうことはよく知ってる。……メモリーラビットってのは、過去の記憶を検索できる亜人だ。彼らは決まった集落を持っていて、移動はしない。なぜなら、集落の真ん中にある入口のない塔が彼らの守るべきものだからだ」
フェンは以前ミカゲから習ったことを思い出し、咀嚼しながら説明した。
「その塔には彼ら全員が見聞きした記憶が残っている。彼らは持っている水晶から常に自分の記憶を塔に送り、必要なときには記憶を引き出すんだ。もちろん個体差はあって、あまりに古すぎる記憶や普通人に見られたくない記憶なんかは引き出せない人が大半らしい。……でも、賢者、エピドートは多くの記憶を引き出すだけの力がある。メモリーラビットが騎士になるとき、建国時の記憶を持ってる者だけがなるという。その記憶を読ませてもらおうと思ってる」
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