月下の踊り子
逃走ルートは警備の薄い場所を狙う。
これは十年以上この仕事を続けているからこそ知りえるルート。
外に用意している車に乗ればもう舞歌を逃がす事は容易い。
後は事前に用意した場所に暫らくの間、身を潜めてもらう。
自分は監獄に戻り、脱走に関しては虚言を吐けば良い。
勿論、責任は問われるが職を失うまでにはいかないだろう。
ほとぼりが冷めれば退職届を出し、舞歌と共に海を渡ればもう日本の法律は影響されない。
全てが巧く運ぶ可能性は恐らく10%未満。
だが確率論はどうでも良い。やるしかないのだ。
「羽鳥さん、見回り終わりましたよ」
境が戻って来た。