《短編》想い人〜叶わぬ想い〜
さっきまで祐介さんが居た場所に、今度は違う人が座る。


それが凄く寂しかった。



「寒くない?」


そう言って自分が着てたジャケットをあたしにかけてくれた。

凄く暖かくて、凄く優しくしてくれてる。


でもあたしが欲しいのは貴方じゃない。



「いーですよ。哲哉さんが寒くなっちゃうから。中戻れば自分のジャケット有りますし。」


祐介さん以外の人と一緒にはいたくなかった。


「中戻りましょう。」


そう言ってあたしは立ち上がった…。


のに、腕を掴まれて動けない。

「どうしたんですか?中行きましょうよ。」


直ぐにでも腕を振り払いたかった。

でもあまりに強く握られてて、振りほどけなかった。


「もう少し一緒にいようよ。やっと二人きりになれたんだから。」


そう言う彼に危機を感じた。


好きでもない人と二人でなんか居たくない。何とかしなくちゃ。




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