《短編》想い人〜叶わぬ想い〜
あたしの好きな人、祐介さんだから絶対幸せになれる。


「奈々ちゃん…、ごめっ…」


「謝らないで。」


彼の言葉を遮ってあたしは続けた。


「あたしに謝らなくちゃいけないことはしてないでしょ。それに聞きたい言葉は謝罪じゃない。」


そうでしょ?
謝られたらあたし惨めになっちゃうよ。それより前に進む為の言葉を聞きたい。




「奈々ちゃん、ありがとう。君に会えて心が軽くなった。」


優しい笑顔の祐介さん。もう迷いのない笑顔にホッとした。


「あたしこそありがとう。これから頑張ってね。」


ああ、と帰る準備をしてドアに向かった彼の後ろ姿を眺めた。


この姿も笑顔ももう見ることはないだろう。


見ることはないけど、忘れることもないだろう。


心の中にいつまでもあるから。



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