《短編》想い人〜叶わぬ想い〜
ドアノブに手をかけながら振り返った彼は、


「俺本当に奈々ちゃんのこと好きだって思ったよ。出逢ったばかりで、それも結婚してる俺がこんな事言うのはおかしいけど、でも知っていて欲しかったから。決して奈々ちゃんを流れで適当に抱いたわけじゃないから…って何調子の良い事言ってるんだろうな。ゴメン、忘れて。」


本当に調子が良いよね。

でもね、

「有難う、嬉しい。あたしも祐介さん好きだよ。でもそれだけ。それ以上何も望まない。ただ幸せになって欲しいって思う。」



自分でも不思議なんだ。

何でこんなに穏やかな気持ちでいれるのか、

今まで感じたことない感情。


手に入るものならあたしの者にしたい。

でも、出来ないのならせめて幸せになって欲しい。



好きって言うのは本当なんだけど、求めるだけの恋じゃなく、相手の幸せを願うだけの恋。


周りから見たら本気じゃないって言われるかもしれないけど、そんなことない。


ただ、影から見守るだけの恋が有ったって悪くないじゃない。



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