x.stage
奥にいたのは小さな子ども。
寝ている子どもの額や胸に手を当て、彼女は何かを感じている。
「先週より顔色が良いですね。薬、もう2週間分ほど用意しております。とにかく外気には当たらぬように。」
「ありがとうございます。」
母親らしき女性は深々と頭を下げ、架凛は薬包紙を預けた。
千夜に目配せをすると、重そうな箱のとってを持ち立ち上がる。
「お大事に。」
そう言って家を後にすると、慣れた足で次の家に向かう。
こうして5件ほど子どもたちを診て回り、この日は薬を配り終えた。
お茶をして帰ろうと提案し、架凛は近くの茶屋に入る。
千夜は洋服で茶屋に入ることに違和感を感じつつも、お饅頭と緑茶を注文する。
同じ物をと注文を終えた架凛は、お疲れ様とにっこり笑った。
「いや、何も出来なかったよ…あの子どもたちは何かの病気?」
「そう、夢病。知ってる?」
首を振るのと同時に緑茶とお饅頭が目の前に置かれた。
静かに両手で湯飲みを持つ架凛を見習おうとしたが、千夜は熱くて持つことすらできない。