恋歌 〜secret love〜
「頼城ちゃん車だろ? 奏の家の場所教えるから送ってやってよ」
「あぁ。それは構わないけど……。
昨日泊ってたってことは、桐渓さんの家に荷物が置いてあるんじゃないのか?」
「はい。……あっ、じゃあ、奏の家に行く前に家に寄っていただけませんか?
あたし達自転車だから、ちょっと待たせちゃうかもしれませんけど……」
「わかった。別に予定があるわけじゃないし、それくらい大丈夫だよ」
そう言って、先生は奏をそっと抱き抱えた。
ねぇ、奏? あんた、何気に幸せ者よ?
今まで好きな人の腕の中でぐっすりだった上に、今度はいわゆるお姫様だっこなんだもん。
何で、こーゆー時に起きてないかなぁ……
夢の世界に浸ってる奏は、起きてからもきっと、このことに気づかないままなんだと思う。
でも、あたしは
この出来事を奏に伝えたくて、仕方がなくなった。