恋歌 〜secret love〜
 


結局、家の近くで奏の荷物を先生に渡した。



少しリクライニングさせた助手席のシートには、やっぱり起きる気配のない奏がいて……



夢みたいな状況に全く気付かない奏が面白くて、あたしと勇人は顔を見合わせて笑った。



「あっ、勇人!家に寄ってかない? 食べるでしょ?これ」


「もちろん!今日は彩乃の家にお泊りかぁー。しかも彩乃から誘ってくれるなんて!嬉しいなぁー」


「誘ってない!泊まりもない!食べたら帰れっ!阿呆っ!」



あたしは、家に向かって笑いながら走りだした勇人を追い掛けた。



そういえば頼城先生、奏のこと“奏”って呼んでなかったっけ?



ふと、そんなことを思い出しながら……。





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