初恋の行方〜謎の転校生〜
紗耶香さんを家の前で降ろすと、俺は柏木の家に帰るよう黒崎さんに告げた。


黒崎さんは露骨に嫌な顔をしたが、それは敢えて無視をした。


川島美咲も不思議がっていたが、

「その格好で帰ったら、家の人が心配するだろ?」


と俺が説明すると、納得したらしく「うん」と言って頷いた。


彼女の制服は泥で汚れ、ブラウスは前が破れ、たぶんボタンも取れてるはずだ。

それを何とかしてやりたい、というのはあったが、実はそれだけではなかった。


俺が助けるのが遅れたばかりに、彼女は泣くほど酷い目にあった。だから俺が彼女を元気付けてやりたい……


いや、それも本当ではない。
本当の事を言えば、川島美咲と一緒にいたかっただけだ。しかも二人だけで。それが本心だった。


俺は、川島美咲という女にどうしようもなく惹かれている。その事実は、もはや否定できなくなっていた。


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