One STEP
聞いていたくない言葉が階段に響く。
馬鹿にするような、笑みが混じったような声。
聞いているだけで嫌になる。
実際あそこにいる先輩たちは、もっと嫌な思いをしているだろう。
もうやめて…先輩たちはかなり良い人なのに…。
そんなこと言わないで…っ。
悔しい。
先輩たちは何も考えてないわけじゃない。
ちゃんといろんなことを考えているんだ。
あたしやめますからから!
とてもじゃないがこれ以上聞いていられなかかったから、意を決して飛び出そうとしたとき、弥生先輩は勢いよく顔を上げた。
まっすぐに先生を見つめるその瞳。
その目は――――死んでいなかった。