アイシング、マイラブソング

【4―4】宝物

「悠の部屋、行ってみたいな」



そう切り出したのは千架の方だった。


「おう。おいで」


僕は気軽な気持ちで承諾した。


付き合っているからには、
互いの家くらいは行っておかねば。


自然とそう思った。



こんな会話が交わされたのは

付き合い始めて5ヶ月ほど経ったある日の学校の帰り道だった。


時分は3月初め。


「春休みはどうしよう」などと相談し合っていた、その一部分。



「本当にいいの?」

「まあ、何もないけど…」

「別にいいよ。悠の部屋はキレイ?」


思わず口ごもった。

とてもキレイとは言えない、
ゴミ溜めのような僕の部屋…。


「あ、きたないの?」

「…で、でも来るとしたらちゃんと掃除するし!」

「ふふ、楽しみにしてる」


結局、

春休みに入ってすぐの日、

千架が僕の家にやってくることが決まった。
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