アイシング、マイラブソング
おとなしくやってきて
膝をついた彼女の手を引き、

即座に唇にキスをした。


「なぁに?急に…」


千架は驚いたような、

そうでないような顔で僕を見つめた。


その、気持ち虚ろな目がまた僕を誘う。



「千架…すきだよ…」



彼女を目の前にし、

今更ながら緊張で喋るのが精一杯。


今更ながらと言っても、

こんなに妖しく

艶めかしい彼女は初めてなのだから仕方がない。


言葉の代わりに、

再び口づけをした。


マシュマロのような千架の唇は、

かすかに熱を帯びていた。



「あたしもすきだよ」



そう言うと、

今度は彼女からキスをくれた。


それは、

僕の理性の糸が切れるスイッチとなった。



ビデオテープはまだ空回りを止めない。



僕は柔らかな千架の二の腕にそっと手をやった。


真っ黒なテレビの画面とは対照的に、


千架の白く輝くさらさらの肌。


腕から滑り降りるように指先でなぞった。


手の甲まで行くと、

そこから腰元、

背中へと続けた。


そこで手を休めると、

睫毛がつきそうなくらい近くに見える千架の瞳を覗いた。
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