アイシング、マイラブソング
砂遊びや波打ち際でばしゃばしゃ遊ぶことに疲れてきた頃、

僕たちは海を見ながら浜辺に座っていた。



ちょうど、夕陽が沈む時。



潮が満ち、

さっき作った山が半分ほど崩れていた。


それを見たら、
よりセンチメンタルになった。



「こういう時に、なんか歌いたくなる」



千架が言うので、

「前に一緒に見た映画の主題歌」

とリクエストした。


すると、

さざ波のような優しい声で、

スローテンポに歌い出した。



中学3年の時の、


あの衝撃がよみがえる。



また心を奪われて


人魚のような、


美しい歌声に聴き入った。
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