アイシング、マイラブソング
どき


こっちがリードしてあげなきゃいけないのに。


紺色のカーディガンの袖に隠れた小さな千架の手が、僕の人差し指から小指までを握りながら改札まで導いてくれた。


初めて触れた彼女の手…

温かくて、夢心地になる。


「15分の電車もうすぐ来るよっ」

「…ごめん、遅くなって」

「間に合ったんだから良くない?」


こういうサバサバしてるところも好き。

―なんだか藤堂の方が男らしいな…

なんて情けなくなったりして。


名誉挽回とばかりに、

千架に掴まれた手をすっと引いて、僕からつなぎ返した。


「…三上の手、冷たい」

「心があったかいから?」

「それ絶対言う人いるよね!」

「わかった、今度までに考えとく」

「大喜利じゃないんだから」

「じきに温かくなるよ。藤堂といるとドキドキして新陳代謝が良くなるんだ」

「はは、何それ~…」

「本当だって」

「…うれしいの」


すごく何気なくだけど、
手を繋げた。


―これが恋人同士…


心の底から湧き上がる千架への愛しさを
今一度全身で感じていた。
< 93 / 271 >

この作品をシェア

pagetop