【長編】雨とチョコレート
「ゆりぴょんのどこが・・・・――」

「2年の修了式以来だね、一緒に帰るの」


俺の声の上に、しのの声が覆いかぶさった。


「・・・そうだね」

「れい君、知ってる?」

「ん?」


しのの目はまっすぐに前を見てる。


「あ・・・やっぱいいや」

「なんだよ。気になるじゃん」

「うん。でも、また今度にする。
まだ、確信っていうの?持てないし。
はっきりしなきゃ、失礼だし」


そう言って、しのは深く深呼吸をした。

深呼吸をして、笑う。


「ちゃんとしたら言うね」

「ちゃんとしたら、っていつだよ」

「んー・・梅雨のころかなぁ」


――梅雨。


小学生のときに、俺が、しのと一緒に帰り始めた時季だ。





それから、少しだけどくだらない話と、進路の話をして、気がつくとしのの家の前についてた。


「わー・・家まで送ってもらっちゃったね」

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