【長編】雨とチョコレート
申し訳なさそうな顔と、ちょっと嬉しそうな顔をしてこっちを見る。

俺としてはここまで送ることができて嬉しいんだけどな・・・。


「家の方向ぜんぜん違うのに。ありがと」


持っていたカバンを返した。


「いいよ。調子悪かったんだし、」


カバンを受け取ったしのは申し訳なさそうにして、こう言った。


「わたしのせいで、れい君に彼女できないんだよね・・・。
ほんと、ごめんね」

「え?」


予想外の言葉が続いたことに、唖然とした。


ちょ、ちょっと待て。

なんだそれ?


こっちが何もいえないのに、しのはずっとしゃべり続ける。


「今日体育館から出るとき、聞いちゃったんだよね・・・後輩の女の子たちが『真山先輩に告白してみようかな』って。
でも別な子が『でも毎日彼女と一緒に帰ってるじゃん』って。
わたし、れい君の彼女だと思われてるんだよね。
付き合ってないのに一緒に帰ったりなんかしてるから・・・。
小学生のころからだから、勝手に当たり前だと思ってたんだよねー・・・。」


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