【長編】雨とチョコレート
「友達っていうか、なんか、ほら、親友・・・じゃないけど、ずっと一緒だから、いないほうがおかしいっていうかさ」


しのが、変だ。

なんだろう。

こんな風にいわれて、俺はなにも言えないのか?

これが、神崎の言ってたタイミングなんじゃないのか・・・?


こんなふうに、しのが俺の気持ちを否定するようなこと言ってるの初めてだ。
しの・・・?



「――で?」


何が言いたいの?

言われた言葉に、考えて答えた言葉と声は、思ってたよりも低かった。


しのの表情がこわばる。


――俺は、こんな顔をしのにさせたいんじゃない。
させたいんじゃないのに・・・!



「うん。あー・・・ここまで言っちゃったから全部言っちゃうね。
さっきのことも。」


俯いてしまった。
ごめん。

ごめん、しの・・・。


心配で追いかけたのに、こんな、変な空気を望んだんじゃないのに。



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