【長編】雨とチョコレート
「おっせーよ、真山!」


3階まで続く階段を上ろうとしたとき、誰かが俺の背中を思いっきり叩いた。

バチン!とすさまじい音を立てた俺の背中にいたのは、去年同じクラスだった神崎統一郎だった。

「いってぇ・・・おまえ・・・・」
「まぁ、まぁ。卒業までよろしくなー!」


指でVサインを作って俺に向けて、しのにはにやけた顔をする。


「今年もよろしくね、しのちゃん!」
「あ、うん、よろしくー」


間延びした声でしのが微笑んだ。

声は間延びしてるけど、凛とした笑顔。

あぁ、この顔なんだよ。
俺がすきなのは。



ぶっちゃけ、しのはかわいい。

これは、俺がしのに惚れてるからそう見えてる、とかじゃなくて、普通にもてるんだ。

本人は気づいてないだけで。



そんなことを考えながらしのと神埼と三人で教室に向かう。



もちろん真ん中は俺だ。



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